Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 遼太郎は、まさかみのりがそんなことを言うとは、想像だにしてなかったので、軽いショックを受けて目を丸くした。


「先生が、そんなこと言うなんて、意外です。」


 驚きを隠せずに、遼太郎がそう言う。


「そりゃ、私だって、男の子をカッコいいと思うことはあるわよ。雨の中の高野高校との試合で、最後の逆転トライを決めた狩野くんだって、思い出す度にうっとりしちゃう。」


 みのりは、また左手を口に当てて、まぶたの裏にその光景を思い浮かべるように目を閉じた。

 自分のことを言われた遼太郎は、ゴクリと唾を呑み込んで、ゆでダコみたいに真っ赤になった。
 みのりがそんな風に自分を見てくれることもあるとは、思いもよらなかったから……。


「あの時は雨だったから泥だらけになって、なおさら男っぽくってカッコよかったなぁ…。」


 依然、みのりは目を閉じたまま回想に耽っているので、遼太郎が真っ赤になって固まっているのに気づいていない。


「……あ、あの時は負けてたんで、もう無我夢中で…。」


 やっとのことで遼太郎がそう言葉を返すと、みのりはパッと目を開けた。


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