Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「そうだよね。狩野くんは必死に闘ってたんだよね。…ちょっと無神経で、不謹慎なこと言っちゃった。ごめんね…。」
みのりは神妙な顔つきになった。
「いや、別に嫌じゃありません…。」
遼太郎は赤い顔のまま、首を横に振った。
みのりの目に自分がとてもカッコよく映っているのは、嬉しいには違いないが、むず痒いような不思議な感覚だった。
「ラグビーは、闘う球、『闘球』って言うのよね。身体と身体がぶつかり合う激しい闘いのスポーツだから、気を抜くと危険だし、選手は一瞬一瞬が真剣なんだろうね。その真剣さが観る人にも伝わって、ラグビーは人を感動させる力があるんだろうね。」
遼太郎の不思議な感覚の中に、みのりの心にある純粋な感動が流れ込んできて、遼太郎は胸が高鳴るとともに謙虚な気持ちになった。そして、とても誇らしい気持ちになった。
1年生の当初、二俣からラグビー部に誘われたのだが、身体がまだ細く小さかった遼太郎は躊躇した。でも、あの時、入部していて本当によかった……と、遼太郎はラグビーを語るみのりを見つめて思った。