Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「ラグビーをそんなふうに思ってくれてるんなら、先生は全然無神経で不謹慎じゃありません。」
遼太郎が真面目に言うと、みのりはニッコリと嬉しそうに微笑んだ。
「狩野くんのポジションはバックスって言ってたけど、バックスにも色々役割があるのよね?」
「それは……」
気を取り直して、遼太郎は解説書の別のページを開く。そこには、フォワードとバックスのすべてのポジションが一覧にしてあった。
「狩野くんの背番号は10だよね?これ、SO?」
「スタンドオフって言うんです。」
「ふうん……、ん?『攻撃の基点、冷静沈着な司令塔』って書いてあるよ!実はすごいんじゃない?狩野くん!」
みのりが本から遼太郎に目をやると、遼太郎は照れくさそうな表情を浮かべた。
「実際の俺は、そんなカッコいいもんじゃありません。試合の時はもう混乱して、ちゃんと役割を果たせてないっていうか…。」
ウン、ウン…と、みのりは真剣に頷いて、またニッコリと笑った。