Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



「ラグビーをそんなふうに思ってくれてるんなら、先生は全然無神経で不謹慎じゃありません。」


 遼太郎が真面目に言うと、みのりはニッコリと嬉しそうに微笑んだ。


「狩野くんのポジションはバックスって言ってたけど、バックスにも色々役割があるのよね?」

「それは……」


 気を取り直して、遼太郎は解説書の別のページを開く。そこには、フォワードとバックスのすべてのポジションが一覧にしてあった。


「狩野くんの背番号は10だよね?これ、SO?」

「スタンドオフって言うんです。」

「ふうん……、ん?『攻撃の基点、冷静沈着な司令塔』って書いてあるよ!実はすごいんじゃない?狩野くん!」


 みのりが本から遼太郎に目をやると、遼太郎は照れくさそうな表情を浮かべた。


「実際の俺は、そんなカッコいいもんじゃありません。試合の時はもう混乱して、ちゃんと役割を果たせてないっていうか…。」


 ウン、ウン…と、みのりは真剣に頷いて、またニッコリと笑った。



< 301 / 743 >

この作品をシェア

pagetop