Rhapsody in Love 〜約束の場所〜




「ボールを前にこぼしてしまうミスのことです。反則になるから、スクラムでゲームが再開されるんですけど…。」


「あっ!そうよ、それかも!速く言うと『ノッコン』って聞こえるものね。」


 みのりは納得したらしく、頷いて続けた。


「そうだったのかー。野球でもないのに、『ノーコン』っておかしいと思ったんだー。」


 さも感心したように腕を組んで頷く。


「……先生、ずっと『ノーコン』って思いながら試合を見てたんですか?」


 遼太郎はみのりに問いかけながら、笑いが込み上げてくるのを感じた。


「そうそう、パスを出すのが下手なことを野次ってるのかと思ってた。」


 このみのりの返答に、とうとう遼太郎は笑いをこらえきれずに声を上げた。


「アハハハハ…先生って、やっぱ面白い…。」


 お腹を押さえて笑い転げる遼太郎を、みのりはキョトンと見ていたが、次第に恥ずかしさに気づいて顔を赤らめた。

 笑いが一段落して遼太郎はみのりに向き直ったが、みのりと目が合うと、また笑いが湧き出てくる。

 すかさず、みのりの手が遼太郎の口を押えた。


「狩野くん。笑いすぎよ!」


 そう言うと、みのりの方も可笑しくなったらしく、一緒になって笑っていた。


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