Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
遼太郎を基点にするパスが、センターに渡りウイングに渡り、相手を欺いて、クロスして走ってきた遼太郎にまた渡る。胸の空くようなその見事な連携に、どのくらい練習を重ねたのだろうと、みのりは思った。
やはりルールが解っていると、格段にゲームが面白くなってくる。
以前はバックスがボールをつなぐときにしかゲームの流れが分からず、ボールが見えなくなるラック(※)や特にモール(※)の時には興奮も消沈していた。
でもそれも、遼太郎曰く『フォワードがバックスにボールを供給しようと必死に頑張っている…』という説明で、見る目が変わった。
ポジションの役割が解り、誰がどういう時にどういう動きをするのかが分かっていると、些細なゲームの展開も見逃せなくなった。
何でもっと早くにルールを勉強しなかったのだろうと悔やまれたが、やはり独学でここまでは理解できなかっただろうし、実際にプレーをしている遼太郎の目を通しての解説は臨場感があり、観戦をいっそう面白くした。
前半は芳野高校の得点のみ、相手チームを無得点に抑え、後半に入った。
ちょうど観客席のみのりのいる前辺りで、相手チームの選手が、ボールを巧くキャッチ出来ず、前に落としてしまった。
(※ モールもラックも、ボールの周りに両チームの選手が集まり、立ったまま体を密着させてボールを奪い合うプレーだが、ボールが空中にある(選手の手にある)状態がモールで、ボールが地面上にある状態がラックになる)