Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
相手はウイングとはいえ、相手は遼太郎よりもずいぶん横幅がある。ハンドオフされそうになりながらも、腰から足へかじり付いて倒そうとするが、相手のパワーが勝り突進され、遼太郎は勢いよく地面へ転がった。
その瞬間、みのりは思わず歯を食いしばる。
遼太郎が起き上がったときには、都留山のパスがつながり、すでにゴールラインに迫っていた。芳野のウイングがそれを懸命に追い、止めようとしたが、都留山のフルバックが2つ目のトライを決めた。
ああ――――――……
再び、芳野側からため息が漏れる。
都留山の猛攻は予想していたことだが、後の残り時間この調子でいくと、何点入れられるのだろう…と、かなり不安になってくる。
応援している方も心が折れそうなのに、選手たちはどんな気持ちでいるのだろう……。
そんなことを考えて、みのりの唇を噛みしめる力がいっそう強くなる。それでも、みのりは痛みさえ感じなかった。
2トライ2ゴールを決められ、14対0になってしまったけれど、不思議と遼太郎は焦りを感じていなかった。
こういう展開を予想していたせいもある。6月の試合は、もっと酷かったからかもしれない。
だけど、今日の遼太郎を何より落ち着かせてるのは、みのりの存在に違いなかった。