Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
前回の試合でみのりがいなかった時、そこにいてくれるだけの存在の大切さに気がついた。見守ってくれるだけで、自分の能力以上のものが出せるようで力強く、自然と心は落ち着いてくる。
確かに、都留山高校は今までの相手とは随分違い、手強いとは思う。そうは思うが、試合が始まってみたら、想像を巡らせていたような脅威ではなかった。
勝つのは難しいかもしれないけれども、これに勝って花園に行けなければ、みのりの言う〝いい男〟にはなれない気がして、遼太郎はずっとそれを目標にしていた。
でも今は、〝いい男〟とかそういうことも雑念でしかない。それよりも、目の前にある状況にどう対処し、数cmでもボールを前に進めるために、どういう戦略でどうプレーするか……。
考えるよりも先に、集中力で研ぎ澄まされた体は勝手に反応し、躍動していた。
得点をせずして勝つことは出来ないのだが、そもそも、ボールを支配している時間が短いので、攻撃らしい攻撃をさせてもらえない。これではサインプレーなど、戦略もなにもあったものではない。
逆に、防戦に躍起になっていても、ちょっとしたほころびをすかさず衝かれ、3つ目のトライを許してしまった。
辛うじてゴールは失敗してくれたが、前半が終了した段階で、19点を上げられてしまっていた。