Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
ボールの跳んだ行方を確認した遼太郎は、腰に手を当てて空を仰いだ。
まだ荒い息を整えるように何度か大きく呼吸をしてから、開いた口を引き結んで、目を閉じた。
相手の都留山高校は、彼らにとっては少々苦戦した試合の勝利と花園出場を果たして、皆が寄り集まり、抱き締めあって歓喜に沸いている。
その声を聞きながら遼太郎は目を開け、
「終わった……。」
と、つぶやいて息を吐いた。
芳野側、都留山側、双方の大きな歓声の中、ずっと遼太郎を見つめていたみのりは、堪えきれずに口を押えていた両手で顔を覆った。
体中が震えて、涙が溢れてきて止まらなかった。
試合に負けて悲しいのではない。
劇的に決まった遼太郎のドロップゴールに、単純に感動しているわけでもない。
あのドロップゴールの鮮やかな軌跡は、みのりの心を貫いた。
それまでごまかし続けていた、みのりの本心を覚醒させた。
それを、もう認めざるを得なかった。
――私……、狩野くんのことが好きだ……。…心の底から…。
みのりはこれからもずっと、遼太郎に寄り添って生きていきたいと思った。