Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
もうこれで遼太郎はラグビー部を引退し、数か月後には卒業していってしまうけれども、これまでと同じように、成長していく遼太郎を傍で励まし見守りたいと思った。
……そして、遼太郎のあの優しさと逞しさに包まれていたいと思った。
切ない痛みが次から次へと胸に押し寄せて、みのりはただ泣くしかなかった。
こんなにも遼太郎のことが好きだったなんて、みのり自身が一番驚いていた。
その想いの大きさに、胸が押しつぶされそうで息もできなかった。
黙って震えているみのりの肩を、澄子がしばらくそっと抱いてくれていた。それで、みのりはようやく涙を拭って顔を上げられた……。
ノーサイドの笛が鳴って、二俣はそれまで自分が駆け回っていた芝のグラウンドに、仰向けに倒れた。
都留山の歓喜の声を聞きながら、やはり空を見上げた。
レフリーが整列するよう指示をしても、それに気づかず起き上がらないので、遼太郎が駆けて行って促した。
覗き込むと、試合で汚れている上に、大量の涙で顔がぐちゃぐちゃになっている。遼太郎が腰をかがめて腕を引っ張ると、二俣はようやく立ち上がり、
「遼ちゃん…、負けちまったなぁ…。終わったなぁ…。」
と、つぶやいた。
肩を組むように寄り添って歩いていた遼太郎は、二俣の涙とこの言葉に、自分の涙も込み上げてきた。