Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 もうこの二俣とも、こうやってチームメイトとして試合に臨むこともなくなると思うと、寂しさが募った。
 いつの間にか頬に涙が伝い、遼太郎はそれを手の甲で拭った。


 整列し礼をすると、〝ノーサイドの精神〟を象徴するかのように、両チームの選手は混ざり合って肩を抱き合った。

 特に二俣と膳所は、都留山の選手にとって国体チームで一緒に頑張ったチームメイトでもある。それに、最後のドロップゴールを成功させた遼太郎のところに、都留山の選手たちが集まっていた。


 暖かな日差しが降り注ぐ中のこの光景を、みのりはかけがえのない宝物のように思えた。

 いつまでもこの光景を止めておきたいとも思ったが、この刹那だから輝いているのだと気が付き、だからこそ、この光景は自分の記憶の中にいつまでも残しておこうと思った。


 芳野側の応援席の前で、芳野高校の選手たちが整列すると、惜しみない拍手が注がれた。

 号令をかけるキャプテンの二俣は、男泣きに泣いていて、声にならなかった。彼は本当に素直で、感情に裏表がない。そんな二俣の健闘を、観客たちは微笑ましそうに讃えた。

 二俣ほどではないけれど3年生は皆、涙がにじんでいる。遼太郎は泣き顔をみのりに見られたくなくて、顔を上げられなかった。


< 476 / 743 >

この作品をシェア

pagetop