Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
決勝戦でなければ、このままグラウンドの脇で涙のミーティングが行われるのだが、これから表彰式が行われるので、再び選手たちはタッチラインに沿って整列し直した、。
敗れたとはいえ素晴らしい試合だったと、表彰式を見ながらみのりは思った。
後半は、芳野の1トライ1ゴールと、遼太郎のドロップゴールのみの得点だった。前半からの度重なるディフェンスで疲れていて、大量得点されてもおかしくない状況にも係わらず、後半は都留山に得点させなかった。
19対10というスコアも、他県からも体の大きな精鋭を集めている都留山高校相手に、ここまで得点したチームも、ここまで抑えることのできたチームも、これまでの都留山の試合ではなかった。
表彰式が終わると、ほとんどの観客がいなくなってしまった。澄子がみのりへと視線を投げ、暗に帰ることを促していたが、
――もう少し…。
と思いながら、みのりはそこに留まっていた。
傾き始めた日差しは、柔らかな光で競技場を照らしていた。澄んだ空気の中に、選手たちが駆けた後の草の匂いが漂う。
その芝生を蹴りながら、遼太郎が縦横無尽に走る光景を、みのりはまぶたの裏に映し出した。