Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
2年半以上も打ち込んできたラグビーから引退するという現実を、今は3年生の選手一人一人が受け入れて、自分の力で消化しなければならない。
それに…、今は遼太郎への想いを自覚した直後だ。遼太郎と顔を合わせてしまったら、自分がどんな反応をするのかも分からない。そのことでも少し怖かった。
けれども、頼まれて固辞するわけにもいかず、気は進まなかったが、芳野の選手たちの姿を探した。
玄関ロビーを抜け、グラウンドの方へと出ると、江口の言っていた通りスタンド席の軒下に、芳野の選手たちが座り込んでいた。打ちひしがれる3年生の横で、2年生や1年生が神妙な顔つきでそれを見守っている。
みのりも同じように、遠くから選手たちの様子を見守っていると、不意に顔を上げた二俣がみのりを見つけた。
「みのりちゃん…。」
立ち上がり、とぼとぼと歩み寄ってきた。
「俺…、花園に連れてってやるって約束したのに…、負けちまった…。ごめん…、みのりちゃん。」
そう語る間にも、二俣の目から滝のような涙がほとばしる。
熊のような大男が、こんなにも大泣きするなんて、みのりはこんな素直な二俣が可愛くってしょうがなかった。
二俣の感情が伝染して、みのりも再び涙がにじんでくる。