Rhapsody in Love 〜約束の場所〜


 放課後の3年1組の教室の片隅には、重苦しい空気が漂っていた。シゴキともいえ る遼太郎の特訓だ。


「俺の頭の中は、まるで菅平だぜ。」


 そばを通りかかった平井に、二俣がそうこぼすと、〝菅平〟の意味が分からない平井は、眉間にシワを寄せて頸をひねった。

 夏休みのラグビー部の菅平合宿、二俣はその過酷さに今の状況を擬(なぞら)えていた。


「…ふっくん、まだそこをまとめるの終わってないだろ?」


 遼太郎がそう諌めると、二俣は口をへの字にして遼太郎を凝視した。でも、文句を言わずに、またノートに向かった。
 衛藤の方は、二俣のように愚痴をこぼす暇さえ見つけられず、必死にシャープペンシルを握っている。

 今勉強しているのは、法制史だ。聖徳太子の憲法十七条から戦後の日本国憲法をはじめとする諸法律まで、授業では一気にまとめて勉強した。


「三代格式が出されたのはいつ頃?」

「…へ、平安初期。」


 遼太郎の質問に、衛藤がかろうじて答える。


「じゃあ、その三代格式、全部言ってみて。」

「弘仁格式、貞観格式、…え、えーと…」


 衛藤が言いよどむと、すかさず二俣が、


「延喜格式!」


と、フォローした。


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