Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「みのりちゃん。もうテストの採点した?」
「さすがに、まだよー。さっき終わったばかりじゃないの。」
「じゃ、じゃあ。早く採点してくれよ。今から部活に行くのに、気になるから。」
二俣とのやり取りの中で、みのりはふと気に留めた。
「……部活?引退したんじゃなかったの?」
そんなことよりも早く採点をしてほしいので、二俣はあまり説明したくないらしい。代わりに遼太郎が口を開く。
「1・2年だけじゃ練習にならないんで、卒業まで有志の3年が部活に出ることにしたんです。」
「あら、そう。」
にっこりと、みのりが嬉しそうに顔をほころばせた。二人の視線が和やかに絡むのを、二俣の咳ばらいが遮る。
みのりは再び二俣を見上げた。
「今ここで、採点しろって?」
ウン、ウンと、二俣は無言で頷いているが、その横で消え入りそうに肩をすぼめる衛藤の姿があった。
「…うーん、もうしょうがないなぁ~…。」
みのりは今まさにフタを取ろうとしていた弁当箱を脇に押しやり、机の端に山と積まれていた答案の中から、3年1組の綴りを取り出した。
赤ペンを引き出しの中から取り出し、自分が解いた模範解答を横に答案をめくる。