Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 二俣の魂胆が分かりすぎるほど分かる遼太郎は、気恥ずかしかったが、この二俣の好意を生かしたかった。

 焼肉のお礼に、今度は自分がカフェでお茶でもご馳走したいと目論んでいたのだが、それをどうやって切り出そうかと考えただけで、遼太郎の鼓動は大きく高鳴っていた。


「先生は、ここからどうやって帰るんですか?」


 澄子に送ってきてもらっているので、みのりは帰る足がないはずだ。


「うん、ちょっと歩くけど光町のサンライズで買い物して、そこからタクシーで帰ろうかなって思ってるんだけど。」

 
 『光町のサンライズ』というのは、この街で一番大きなスーパーだ。遼太郎の頭の中で地図を必死に検索して、サンライズに行く道沿いに小さなカフェがあることに気づいていた。


「それじゃ、サンライズまで一緒に…。」


 遼太郎は自転車を押しながら、みのりと並んで歩きだした。


 12月も半ばを過ぎたというのに、この日は小春日和の暖かい日で、コートを着て歩くと汗ばむくらいだった。

 いつもならば、みのりが何かと話題を持ち出すのだが、今日は視線を落としてただ黙って歩くだけだ。気まずくなる前に何か会話をしようと、遼太郎が口を開いた。


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