Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



「先生、さっきあんまり食べてませんでしたね。俺たちに気圧されて、取れなかったんじゃないですか?」


 遼太郎の指摘に、みのりは軽く息をもらして笑った。確かに、網から食材を取ろうと思っても、先に取られてしまう場面は多々あった。


「大丈夫。2時間の間に、それなりにちゃんと食べてたから。狩野くんにとっては、あれじゃ『あんまり』になるのかもしれないけど。それに…。」


 みのりの言葉が続きそうだったので、遼太郎はみのりへ視線を定めたままゆっくりと歩きながら待った。

 みのりは一つ大きく息を呑みこんで、ようやく続ける。


「それに、昨日研究授業の慰労会を兼ねて地歴公民科の忘年会があって、夜中の2時まで飲んだり食べたりしてたから、正直今日は胃がもたれてて…。」


 みのりはちょっとしんどそうに、苦笑いした。

 ちょっと元気がないのは、遼太郎の気のせいではなかったようだ。


「…そうか、先生。昨日、研究授業があったんですね。今日は疲れてるのに、俺らのためにすみません。」


 わざわざみのりの忙しいときに、焼肉を食べに行くことになって、遼太郎は申し訳ない気持ちでいっぱいになった。


「研究授業をするよりも、そのあとの反省会と飲み会で疲れたって感じだけどね。」


 みのりはそう言って、「ふぅーっ」と息を抜く。


< 556 / 743 >

この作品をシェア

pagetop