Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「先生、さっきあんまり食べてませんでしたね。俺たちに気圧されて、取れなかったんじゃないですか?」
遼太郎の指摘に、みのりは軽く息をもらして笑った。確かに、網から食材を取ろうと思っても、先に取られてしまう場面は多々あった。
「大丈夫。2時間の間に、それなりにちゃんと食べてたから。狩野くんにとっては、あれじゃ『あんまり』になるのかもしれないけど。それに…。」
みのりの言葉が続きそうだったので、遼太郎はみのりへ視線を定めたままゆっくりと歩きながら待った。
みのりは一つ大きく息を呑みこんで、ようやく続ける。
「それに、昨日研究授業の慰労会を兼ねて地歴公民科の忘年会があって、夜中の2時まで飲んだり食べたりしてたから、正直今日は胃がもたれてて…。」
みのりはちょっとしんどそうに、苦笑いした。
ちょっと元気がないのは、遼太郎の気のせいではなかったようだ。
「…そうか、先生。昨日、研究授業があったんですね。今日は疲れてるのに、俺らのためにすみません。」
わざわざみのりの忙しいときに、焼肉を食べに行くことになって、遼太郎は申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「研究授業をするよりも、そのあとの反省会と飲み会で疲れたって感じだけどね。」
みのりはそう言って、「ふぅーっ」と息を抜く。