Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 みのり自身も身をすくめて、声のした階段の方に顔を向けると、体育の授業から教室へ戻る、二俣と遼太郎がいた。


 自分にとって、ますます形勢が悪くなったと気取った荘野が、脱兎のごとく走って逃げ出した。

 二俣は体育着の入ったビニールバッグを、遼太郎に預け、荘野を追いかける。廊下を走り、向こう側の階段をかけ降り、荘野と一緒に姿を消した。


「荘野!俺のみのりちゃんに向かって、なんて口きいてんだ!!てめえ!」


という二俣の怒鳴り声が響いてくる。

 遼太郎が心配そうに、みのりの傍らまで来て、声がした方を見やった。


「狩野くん、追いかけて!二俣くんが荘野くんに、ひどいことしないように!」


 思わず、みのりは遼太郎の腕を掴んでいた。
 遼太郎は、却ってそのことに驚いて目を丸くする。


「早く!殴ったりしたら、それこそ大変なことになるから。」


 みのりは、遼太郎が動いてくれないので、授業道具をそっちのけにして、自ら追いかけようとした。
 すると、今度は遼太郎がみのり腕を引いた。みのりも驚いて、息を呑む。


「大丈夫です。ふっくんは、荘野を殴ったりしません。二人とも、仲間だから。」


 遼太郎の言っていることを理解するまでの間、みのりの不安そうな視線は、遼太郎の安定した表情の上をさまよった。


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