Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 生徒たちの緊張が伝わってきて、みのりは胸を押えて深呼吸した。


――頑張って、頑張って…!


 1曲目は課題曲。先ほど築城高校も同じ曲を演奏していた。数で劣るので、やはり聴きごたえがないようにも感じるが、みのりの耳にはまずまずに聴こえた。

 2曲目は自由曲。練習で幾度となく聞いた曲だ。


――早い動きのところで、1年生がついていければいいのだけど……。


 そんなみのりの不安は的中し、1年生の一人、佐々木の手が止まってしまった。


――大丈夫、落ち着いて。次のところから合わせて…。


 みのりは手を胸の前で組んで、一生懸命心の中で励ました。

 演奏自体は、3年生がうまくリードし、そつなく終えることができた。気迫がこもった上出来の演奏だったと、みのりは思った。



< 66 / 743 >

この作品をシェア

pagetop