略奪ウエディング


な、何?昨日と全然違う…!
私は息苦しくなって口を開いた。
すると課長の舌が私の口の中に滑り込んできた。

「あ…!かちょ…」

顔を逸らそうともがくけれど、課長の唇がそれを許さない。
執拗に舌で追い、私の唇を侵していく。

「ん…、ふ…」

私は何とか息を戻し、課長の強引なキスを受け入れていった。

激しく官能的で、昼間の公園には似つかわしくないけれど、お互いに止めることはできなかった。
彼の髪に指を挿し入れ絡ませる。

好き。好き。このまま時が止まればいい。
あなたの溢れる想いを私に全て下さい。
もう、永遠に私だけを見ていて。

心の中で必死に叫ぶ。

どうして諦められるだなんて思ったのだろう。
想いを告げたら、忘れてしまえると?
こんなに愛しい人には二度と出会えない。

「梨…乃…」

彼の吐息のひとかけらすら自分のものにしたいと思うのに。

その声で、その指で、あなたの全てで、私をもっと奪って欲しい。
他には何も考えられなくなるほどに。


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