略奪ウエディング
「こら、梨花。話は後で聞くから、黙っていなさい。あんまり言うと本当にお姉ちゃんが今晩レスラーになるぞ」
「お父さん!やめてよ」
愉快な家族の会話に、俺は温かい気持ちになっていた。
彼女を心から幸せにしようと思った。
この家庭のような温かさを、俺も梨乃と築きたい。
「ところで…、片桐さん」
「はい」
「一つだけ、お願いがあるのですが」
お父さんの話のふりにドキッとする。
やっぱり何か、問題でもあるのだろうか。
「結婚式なんですが…」
俺は、ああ、何だとばかりに言った。
「金沢で挙げてもいいと思っています。私のほうは向こうから呼びますから」
「いや、違うんです。その」
お父さんは言いにくそうに俺を見る。
「はい?」
――「できたら、挙げないでもらいたいんです」
お父さんの話に俺と梨乃は固まった。
「え?」
「…お父さん、どうして?」