神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
その瞬間、くいと腕を引かれた。
力が抜けていたあたしは、ぽすっと四郎くんの横に座ってしまう。
驚くほどジャージが似合わない彼から、自分と同じボディソープの香りが漂ってきて、どきりとした。
「それほど落ち込まずとも良かろう。
男など、あの坊やの他にも腐るほどいるではないか」
「それはそうだけど……」
そうだけど、彼は産まれて初めて、ほんのりとしたときめきを与えてくれた人だったんだもん……。
じわりと涙がにじむ。
そんなあたしの顔を覗き込んで、四郎くんは一瞬真面目な顔をした。
つかんでいた手首を放し、あたしの頭にぽんと置きながら座りなおす。
「……お前は何も、悪いことはしていないのだろう?
ただ、友を鬼から守ろうとしただけだ」
「…………」
「人外のものが見えることだって、お前が望んでそうなったわけじゃない。
それでも、お前を気味が悪がったりするのなら、そいつはそれまでの男だったということだ」