神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「ごちゃごちゃ言うでない!
お前は我についてくればいい!」
「もう……」
こうなると四郎くんは、人の話を聞いてくれない。
あきらめて素直に従って歩き出すと、突然にぎられた手が気になった。
四郎くんはやっぱり、その外見のせいで非常に目立っている。
浴衣を着た女の子たちが、ちらちらとこちらを振り返っているような気がした。
「ねえ見て、あの人」
「芸能人?」
「見たことないけど、かっこいいね」
そんな会話が聞こえてきて、気のせいじゃないことがわかる。
「あの……四郎くん、手……」
「ん?」
「つないでなくても、もう転ばないから」
性格はともかく、こんな見目麗しい人に手を引かれているのが自分だということに、罪悪感を覚える。
隣にいるのがあたしで、ごめんなさい……。
「……ダメだ。はぐれたら困る。
お前のような地味なやつ、ここではぐれたら、二度と会えないぞ」
地味……。
自分でもわかっているけれど、わざわざ人に言われると傷つくなあ。