神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「四郎くんだけじゃない。
あたしだって、みんなだって、きっと変わっちゃう。
こんなに楽しい1年後は、ないかもしれない」
子供の頃は、無邪気に信じていられた。
1年経てば、きっとこのわくわくの中へ、帰って来られるのだと。
だけど今は、時間が流れるのが、怖い。
「……美心」
低い声がした。
突然手に触れられて、驚いた指先からリンゴ飴が土の上に落ちていく。
ぽとりと音がしたけれど、飴が土についてしまった瞬間を、あたしは見られなかった。
そのとき視界にあったのは、四郎くんの長いまつげだったから。
ブルーの瞳が閉じられるのに、目を奪われていた。
そんなあたしの唇に、そっと、あたたかい何かが触れた。
背中に大きな手が回されて、それが四郎くんのものだと気づいたときには、もう。
あたしも、目を閉じていた。
自分の手をどうしたらいいのかわからなくて、心臓が壊れそうで。
混乱して泣きそうになっているのに、寂しさをいたわるような優しいキスに、心の奥底はなんとか答えようとしていた。
そんな感情がないまぜになって、何も考えられなくなったとき。
そっと、四郎くんは離れていった。