神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
目と目があう。
四郎くんは静かにあたしを見つめていた。
どうしてこんなことになっちゃったのかは、わからない。
でも、確実に何かを……あたしたちは、飛び越えてしまった。
月光に照らされた彼の白い頬に、ぽたりと滴が落ちる。
何かと思ったら、四郎くんは視線を外し、天を仰ぎ見る。
「雨……?」
「……いや……来たんだ」
天気予報では、今夜の降水確率は10%だった。
だけどいつの間にか夜空に垂れ込めていたらしい雲が月を隠し、世界が闇に染まっていく。
「来たって、なにが?」
ぽつりぽつりと降り出した雨。
四郎くんは立ち上がり、答える。
「オロチだ」
──ビュオオオオオッ!
彼がその名を呼んだ途端、一陣の風があたしたちの横を通っていった。
「まさか!」
急いで下駄を履いて立ち上がると、屋台の電灯が見えるあたりから、悲鳴が聞こえた。
雨はあっという間に激しさを増し、豪雨へと変わる。
強い風が吹き荒れ、電線を揺らし、人々に雨を叩きつけた。