恋するほど   熱くなる
私は溜め込んでいたものを一気に書いていった。

どうにも止まらなかった。

あっという間に三日が経った。

四日目の朝早くに近くのコンビニへ行った。

週刊誌には第七回妖精プロジェクトのことが大きく出ていた。

もうすでにエントリーメンバーが全員載っていた。

そうだった。

昨年の私もこうだったのだ。

中でも私は一番ビリでエントリーしたのだった。

二ヶ月前ぎりぎりに。

今年もこの中から一人が選ばれるのだろう。

そう思ったら空しくなってきた。

やっともらえたオフに喜んでいる自分が取り残されたように感じたのだ。

モデルはもう辞めようと思った。

ライターになりたい。

私の書いたものがどこまで通用するのか挑戦したいと思った。

部屋に帰ってパソコンをもっとマスターしようと考えた。

私は事務所の香織さんに電話をしてパソコンを一式そろえたいことを伝えた。

香織さんは事務処理能力がずば抜けて素晴らしかった。

午後一番に届くよう手配してくれた。

まるで私に言われるのを待っていたかのごとく素早い対応だった。

午後から早速パソコンで入力を始めた。

香織さんにお礼のメールも送信した。

荒木さんの携帯へもメールを送り

オフが充実していることを伝えた。

すぐに返信が入った。

『美莉へ、君からパソコンの注文がくると思い香織に用意させていた。大正解だったな。』

悔しい。

荒木さんはそこまでわかっていた。

私の全てを私よりもわかっているなんて怖いと思った。

彼に隠し事はできないと思った。

五日間のオフが終わった。

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