異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。
最後に、とあたしはいつもの様にジャガイモの葉にそっと触れた。
「元気に育ってね」
祈りに似た願いを込めて優しく撫でれば、指先がほんのりと暖かく感じる。
あたしが唯一持つ能力である言霊の力は、やっとその感覚が掴める様になってきた。
以前から使ってた空気化のスキルも、無意識に言霊の力を利用してたってこと。
そして、言霊の力のもう一つ便利な点は……。
《……ありがとう》
ほんのりとだけど、植物の気持ち(?)が解ったり。それだけじゃなく、異なる言語もまるで日本語みたいに容易に読み書き出来る……なんて有り難い力もあった。
日本では英語が常に赤点ギリギリだったあたしにすれば、言語の勉強しなくて済むのは有り難いですわ。
なにせ、セイレスティア王国だけでも公用語が3つ。更に隣接する国それぞれに独自言語があるから、いちいち覚えようとしたら何年かかるやら。
地方では方言もあってやり取りが難しいらしいけど、言霊のお陰であたしはへっちゃら。
「よし!」
とあたしは畑から立ち上がると、手についた土を両手で払おうとした……んだけど。
唐突に、腕輪が温かさを増してきた。
(えっ……? 何これ!?)
《お礼……力を……あげる》
ほんのりと緑色に輝く風が吹き上げてきた途端、フッと身体中から力が抜ける。
そして……見えてきたのは。
草原の中で微睡む幼い頃のあたしと、ティオンらしき金髪の男の子だった。