異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。
ティオンの手にある水色の包み紙の箱。
昨夜、時間をかけてデコッた上に四苦八苦ラッピングして。でも結局渡せなくてカバンの奥深くにしまってたのに。なぜここに!?
そういえば……と思い出した。
“頑張ってね”とやたら後押ししてきたキキのことを。
(キキ、あんたかあああっ!!)
絶対に彼女の仕業だ。お茶を運ぶ時にトレーじゃ辛いだろう、ってワゴンを借りてきてくれたのは。これをさりげなく仕込むためでしたかい。
(うわあああ)
あたしは頭を抱えたくなった。
深夜。徹夜でお菓子を作って疲れからか、妙にハイな気分で侍女達からのアドバイスを真に受けて製作したアレ。
今、見られたら。羞恥心から悶絶死しそうだ。
「か、か……返して! それは」
「ティオンへ――ユズよりって書いてあるよ。何だろう……楽しみだな」
あたしはそんなタイトルつけてない! それもキキの手書きだってば!!
あたしは必死になって取り返そうとしたけど、悔しいことに身長差はいかんともし難い。
その上「ユズは僕にプレゼントなんてあげたくないんだ?」なんて寂しそうに言われたら、観念するしかないけれど。
「こ、今度もっといいものを持ってくるから。とりあえずそれは……」
「いい。どんなものでもユズがくれるなら、僕にとって大切な宝物だから」
なんて囁かれて、撃沈してしまいましたよ……。
そして、ティオンは箱を開いて。
やっぱり、これ以上ないくらいに目を見開いた。