異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。
(引いてる……やっぱりドン引きしてるよ!!)
泣きたい。というかこの場から消えたい。
「あ……あの……やっぱりこれ……あたしが食べるから返し」
今度こそ取り返そうと箱に手を伸ばせば、唐突に手首を掴まれた。
こわごわとティオンを見れば……
彼は、なぜかあたしを見上げてたんだけど。
その瞳にはいつになく熱が籠っているように見えた。
「ティオン?」
「……困ったお姫様だね、まったく」
急に彼があたしの手を引くから、バランスを崩しそうになって慌てて体を引こうとしても強引に引き寄せられる。
そして、気がつけばティオンの胸に顔が近くて。彼の腕の中に体がすっぽり収まってた。
いつになく性急な動きで後ろ頭を抱えられ、胸に押し付けられた頭に響いたのは――耳から聞こえるティオンの心臓の音。
あたしに負けることなく、ドキンドキンと早鐘みたいに強く速く脈打ってた。
「……僕はずっと抑えてたのに、こうして煽って。悪いお姫様だね?」
(抑えてたって……何を!?)
「あたし……煽ってなんて」
「うん、無自覚だから余計に質が悪いけど……」
ティオンはあたしの顔を離して片手で頬を包むと、額にそうっとキスをくれた。
「……君は、君が思う以上に力を持っている。人の心を掴むという、これ以上ない得難いものをね。それは誇っていいことなんだよ」