異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。
あたしが人の心を……掴んでる?
ティオンの信じられない言葉に、目をパチパチと瞬いた。
「え、どこが? あたし……そんなことしてないよ?」
「だから、無自覚なぶんたちが悪いんだ」
クスリ、と小さく笑みを作ったティオンは、あたしの頬を撫でた。
「子ども達があれだけユズを慕ってるのは、どうしてかな?」
「えっと……珍しい遊びを教えたからでしょう? 単に興味本位で……」
ただ、それだけ。
世界が違っていても、子どもは変わらない。好奇心旺盛で、じっとしていなくて。だから、あたしが教えた何もかもが珍しかっただけ。
なのに、それを聞いたティオンはクスクスと可笑しそうに笑う。
「そこまで鈍いといっそ清々しいほどだね」
……つまり、ティオンはあたしが鈍感と言いたい訳ですか。
「どこが? あたしだってそれなりに気を遣ってるし。相手のことは考えて行動してるつもりだけど」
「うん、それはわかってるよ」
ティオンはあたしの背中に腕を回すと、よいしょ、なんて言って抱え直す……それはあたしを膝に乗せるためで。
あまりの密着具合に固まるあたしを、ティオンは遠慮なく抱きしめてきた。
「……子どもってのは良くも悪くも正直なんだよ。ただ単に興味本位だったら、とっくに飽きて見向きもしなかっただろう。だけど、思い出してごらん。
あの地区に向かったのは十回目だけど、子ども達の反応はどうだった?」
ティオンに促されて思い返せば、確かに子ども達はあたしにそっぽを向くどころか。すぐに囲まれなかなか解放されなかった。
どの子もキラキラと目を輝かせて笑顔で……明るい笑い声をあげてた。
顔を上げたあたしに、ティオンは微笑んでくれた。
「それが、君の力なんだよ、ユズ。言霊なんて関係ない……君自身が勝ち取った何より得難いものなんだ」