異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。



「離宮の人たちだって、王宮の人たちだって……外の大人達も、みんな君に惹かれるんだよ。そりゃ全ての人がそうとは言い切れないけど……それでも大概の国民や市民達は君を慕ってる。
政(まつりごと)をする上で一番大切なのが民だからね。
君は、無意識のうちに理解され、信頼と支持を得ていたんだ。国民の支持というこれ以上ない大きく強い後ろ楯を持ってる。だから、自分が何もないとか相応しくないとか悩む必要なんてないんだ」


ティオンはそう話してから微笑む。優しくて甘いそれに頬が熱くなると、ぽろりと涙が溢れた。


どうして、ティオンが強引なまでにこの視察を敢行したか。その真意がやっと解ったから。


……ティオンは……あたしが自信がないとこぼしたから。わざわざスケジュールを空けて連れてきてくれたんだ。


こうして、現状を確認してあたしに自信を持たせるために。


きっと、あの場ではどんな言葉で慰められたとしても、一時的な安心にしか繋がらなかっただろう。


だから、ティオンは連れてきて見聞きして。理解し納得させる手段を使ったんだろうな。


その解りにくい不器用な優しさに……涙が止まらなくなる。


「ティオン……あ、ありがとう……本当にありがとう」

「大したことはしてないよ。君は魅力的なんだから……もっと自覚して欲しいな」


チュッ、と軽いリップ音を立てて額にキスをくれた。


だけど……


何だかティオンさんの視線が熱っぽく感じるのは、あたしの気のせいでしょうか?


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