Dear.

暫くたっても総司は笑いを絶やすことなく、結局、皆の前に登場する事になったのだが、襖が開くその時に、総司の口が私の耳へ近づき、



「今夜、実感湧くかもよ?」


なんて言えば悪戯が成功した子供のように舌を出す



そのせいで、緊張感が一気に増してしまい、近藤様の合図で祝言が始まるまでの記憶があやふやだったりする




だが、始まれば新選組らしいどんちゃん騒ぎ、飲んで誰かが歌えば誰かが踊りだし、誰も止められるものはいなかった



盃の際は、何故か私の器には本当にこれっぽっちというお酒しかそそがれず、あまりの少なさに総司を見てやれば、ニコ、と笑うではないか。



「酒は飲んでも飲まれるなって言うじゃない慶。」



この人は...、いつまでその事を引きずるのだろうというくらいお酒の事を引きずる

あの時のことは沢山謝ったし、私自身も恥をかいたのだ


「そこまで、言わなくてもいいじゃない」



少し不貞腐れてやれば、問答無用と言った笑顔で切り捨てられてしまった


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