Dear.
「だったら試してみれば?」


僕の挑発的な言葉を聞い途端、切腹しようとしていたのをやめ、刀を構える



「そうでなくっちゃ。」



ジリジリと詰め寄っては離れ、詰め寄っては離れ、それでもお互い引くことはなく睨み合い、力量を図り合う



「ハッッ!」


仕掛けたのは総司だった


体で迎え撃つ、『猛者の剣』。


止まることのない攻撃は確実に、そして着実に相手に大きな影響を与えている



「ハハッ、口でゆうだけあって中々強いなあ!」



「口数の多い奴だっ!!!」



どのくらい続いただろう



何度も、何度も繰り返される激しい撃ち合い


命のやり取り



どちらも限界のはずなのに、どにらもきついはずなのに...なぜか総司は口元に笑みを浮かべ、それが勝敗を決定づける



グシャアッ!!!


腹に刺さった刀



「これで、切腹と同じだ。」



嫌味の混じるその言葉は紛れもなく僕の口から発せられた



「うっ、あ..はっ、」



苦しそうに命を落とした敵。


のちに僕はそいつが吉田稔麿という長州の大物だったことを知る



ポタポタ、と刀から血が落ちる



それと同じように額からポタポタと汗が落ちる




暑い。

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