Dear.
かなりの長期戦だったから暑いのも、汗をかくのも分かる



けど、それ以上に体が燃えそうに暑い

喉が渇いてヒリヒリする



肩で息をしながらその場に座り込むとジワァ、と口の中に広がってゆく鉄の味


血?


なんで口の中に血の味が広がるんだろう

どこもやられてはいないのに


不思議に思っていると急に襲ってくる吐き気

頭もクラクラして、なんだか怠い


「ははっ..情けな...」



早く一階に戻って近藤さん達の加勢に行かないといけないのに、体が動かない



ズルズル、とその場に座った状態から崩れ落ちてゆく




「新選組、十番組組長のお出ましだぁっ!!!!」


下から聞こえたやたら大きな声


よかった、土方さんたちの隊、間に合ったんだ。



なら、僕いかなくてもなんとかなるかな...


そう思うと徐々に徐々に閉じてゆく瞼


閉じてはいけないとわかっているのに、それでもその衝動に抗えない


『そ、じ..いも、うと、慶の事...っ、よろしく、なっ..?』



ふと、蘇るあの記憶



分かってるさ清史郎。



彼女だけは僕が守り抜くから


安心してよ



そして僕はゆっくりと目を閉じた


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