Dear.
信じているんだ



皆さんを━━━━。



けど、私は?

信じたくても信じられない。


人は簡単に命を落とせてしまう

簡単に目の前からいなくなってしまう


残される者の辛さがよく分かるから、だからとてつもなくそれが怖い



それから暫く時がたった



一向に彼らが戻る気配がなく、時が経てば経つほど恐怖が私を多いつくす



辺りが明るくなり始めた頃になるとザッザッザッ、と何処からともなく聞こえてくる音


「帰って来たみたいですね。」



顔を伏せていた私は山南様の言葉をパッと顔を上げ素の方向へと目を凝らす



大勢の浅葱色の隊服を着た志士たちがこちらに向かって手を上げて帰ってくる




「..よかった。」


自ずと口から漏れる安堵の言葉




けど、それはすぐに小さな悲鳴に変わる



「そ、う..じ??
藤堂様っ!!?」


板に乗せられてぐったりしている二人



総司は口から、藤堂様は額から血を流している



「あ、ぁ..、」



声という声が出てこない
目の前の事実が受け入れられなくて、その場にへたり込んでしまう



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