Dear.
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「あの、総司..
いい加減、寝て下さい。

怪我に響きます。」



「だから、怪我じゃないって!
ただのぼせて倒れただけじゃないか!

しつこいよ、慶!!!」



「しつ...
それでも、です!
寝て下さい!」

そう言って私は無理矢理総司に布団をかける


何故、私と総司がこんな言い合いのような事をしているか..


それはあの”池田屋事件”で倒れた総司が一日してやっと目覚めた時だ



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「..け、い?」


いつものあの声とはだいぶ違ってとても小さく弱々しい声が夜部屋に響く


「そ、うじ..?
あ、ぅ..よかったぁぁっ...」



なかなか目覚めない総司が心配で仕方なくてずっと看病していた慶だったが、総司が目覚めたのが分かるとポロポロと涙を流す



「......泣いてるの慶?

あれ、僕池田屋に..」



記憶があやふやなのか不思議がって、私の存在を確かめるように頬に触れてくる



「帰ってきたんですよ。
終わったんですよ?


だから安心してください」


そう言って微笑んで見せると「そっか...」と言って彼も微笑む



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