私立聖星魔法学園

「ここです」



1度一階まで降りて長い廊下をしばらく歩くと、聖夜は赤い扉の前で立ち止まった



「失礼します」



トントン、と軽くノックをして部屋に入る聖夜に続く




部屋の中は一目で服を作るところだとわかるような、たくさんの種類の服が所狭しと並んでいた




「ハドさんいますか?先ほど連絡した中村です」




すると沢山ある服の一箇所がモゾモゾと動いた




そのまま服の隙間から出て来たのは・・・




「・・・校長先生第2号!??」



「恵さん落ち着いてください!!」



「こんにちは、お嬢さん」




「あ、こんにちは・・・」





出て来たのはいたってフツーのおじいさん



校長先生より若干ワイルドな顔つきな感じはするけど・・・



ただサイズがおかしい




この目の前に来て挨拶をしてくれたおじいさんはあたしの膝あたりまでの身長しかない




数時間前に話した校長よりも小さいがなんとなく似ている


「恵さん、この方はハドさんです。主に生徒の為の服を作ってくれる方なんですよ」


「よろしくのう」



「よろしくお願いします・・・」



(なんなんだこの展開は!)



心の中で毒づきながら挨拶をする




「ハドさん。彼女が例の編入生です」



「あぁ!この子が例の・・・ほぉー」




そして知らぬ間に話が見えなくなって行く




(『例の編入生』ってどういう意味だろう・・・)




「お嬢さん、小人を見るのは初めてかい?」



あ、やっぱ小人なんだ




「はい。こっちの世界には今日来たばかりなので」




「ならこの学校の制服も持っていなかろう。サイズを測りたいからこっちに来てくれるかね?」




ハドさん、と呼ばれた小人にそう言われ、少し戸惑い聖夜を見ると優しく微笑んだ




「大丈夫ですよ、ハドさんはこの学校のベテランですから」




(そーゆー意味じゃないんだけど)




そうは思いながらも聖夜に『大丈夫』と言われると何故かすごく安心することができた




聖夜に軽く笑いかけて、ありがとう、と呟くとハドさんのもとへ歩み寄る




「よろしくお願いします、ハドさん」




「そんな硬くならんでもええんじゃよ。気軽に『ハドじい』とでも呼んで欲しいのう」




そう言って優しく笑った笑顔が、自分のおじいちゃんと重なり、思わず涙がこみ上げた




「・・・うん!よろしくね、ハドじい!」
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