雪恋ふ花 -Snow Drop-

「あのさあ、ふつう、それは男のセリフなんだけど。なんで女の子の珠がそんなこと、気にするわけ?」

「だって、いつも…」

「いつも、なに?」

優しくうながされ、珠は重い口を開く。

「努力が足りないって…」

最後の方は消え入りそうな声だった。

春人は大きなため息をついて、「努力ねえ」と言った。
珠がおずおずと続ける。

「もっと、気持ち良くさせろって…」

「ふーん」

春人は何か言ってしまいそうになるのを必死におさえて、やっとそれだけつぶやいた。


春人の手はさっきからずっと、珠の背中や髪の毛を優しくなでていた。

「俺も自信なんて、ないよ。
あ、でも、俺はめちゃくちゃ良かったよ、この間」

珠が慌てはじめる。

「あれはダメ!カウントに入れないで」

春人はいたずらっぽく笑うと、「えっ、なんで?」ととぼけている。



「だって、あれは…その…」

「その場の勢いだったから?」

珠はこくりとうなづいた。

「すごい、かわいかったのに」


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