雪恋ふ花 -Snow Drop-
何か考えているようだった春人はさらに話を続けた。
「珠ちゃんは、外見とか、格好とか、あんまり気にしないんだね」
「もうちょっとオシャレしたらって、姫花にはよく言われるけど……」
「いや、そうじゃなくて。こんなよれよれのジャージ姿見ても、なんにも言わないから」
「えっ?」
そう言われて、珠が春人の格好をあらためてしげしげと見た。
かなり年季の入った、メーカー品とかではないジャージだったが、着やすいのだろうと何も考えていなかった。
「それに、こんな眼鏡かけてても、何にも言わないし」
春人は往路から、黒ぶちのちょっと古めかしい眼鏡をかけていた。
「家では眼鏡って人多いし、長距離運転する時は、目が疲れるからなのかなって」
珠は春人の話が見えず、次の言葉を待った。
「もともと、髪はぼさぼさ伸び放題で、こんな眼鏡にさえない服装だったんだ」
「ええっ、だって、春さん、すっごいオシャレじゃない?」
「それも、元カノの影響」
「へえ」
元カノという言葉が突然出てきて、珠はどきっとする。