雪恋ふ花 -Snow Drop-

そのまま、寝室のベッドにそっとおろされて、その後のことは、後から思いだそうとしても思い出せないほど、無我夢中だった。
よけいなことを考える時間など、春人は与えてはくれなかった。

春人の手はどこまでも優しく、触れるか触れないかのタッチで、珠の体を目覚めさせていく。
体中の全てがセンサーになったかのように、春人の触れる手に、珠の体は敏感に反応した。

そして、春人の手は瞬く間に、珠のツボを的確に見つけ出していった。


「きれいだよ」
「かわいいよ」
「好きだ」
「愛してる」
「もう、離さない」
「ずっと、こうしてたい」
「気持ちいい」

春人はずっと、珠の耳元で、熱い吐息とともに、ささやき続けた。


珠も自分の想いを伝えようと思うのに、あまりにも気持ち良すぎて、うっとりして、甘い声をあげる以外に、何か言うことなどできなかった。


もう、体のどこもかしこも、春人が触れていない場所はなかった。
まさに、頭のてっぺんからつま先まで、春人の手や唇が触れていく。

そして、珠も何か返そうとする度、「今は俺だけ感じてて」と止められた。

自分だけ、こんなに気持ち良くしてもらって、いいのだろうか?
そんな思考が一瞬、珠の頭に浮かんでも、すぐに春人に翻弄されて、それ以上、何も考えられなくなる。

何度も名前を呼ばれ、初めて自分の名前が好きになった。
春人に「珠」と呼ばれる度に、心が幸せでいっぱいになった。



珠も、何度も春人の名前を呼んだ。





< 141 / 146 >

この作品をシェア

pagetop