雪恋ふ花 -Snow Drop-
そのまま、寝室のベッドにそっとおろされて、その後のことは、後から思いだそうとしても思い出せないほど、無我夢中だった。
よけいなことを考える時間など、春人は与えてはくれなかった。
春人の手はどこまでも優しく、触れるか触れないかのタッチで、珠の体を目覚めさせていく。
体中の全てがセンサーになったかのように、春人の触れる手に、珠の体は敏感に反応した。
そして、春人の手は瞬く間に、珠のツボを的確に見つけ出していった。
「きれいだよ」
「かわいいよ」
「好きだ」
「愛してる」
「もう、離さない」
「ずっと、こうしてたい」
「気持ちいい」
春人はずっと、珠の耳元で、熱い吐息とともに、ささやき続けた。
珠も自分の想いを伝えようと思うのに、あまりにも気持ち良すぎて、うっとりして、甘い声をあげる以外に、何か言うことなどできなかった。
もう、体のどこもかしこも、春人が触れていない場所はなかった。
まさに、頭のてっぺんからつま先まで、春人の手や唇が触れていく。
そして、珠も何か返そうとする度、「今は俺だけ感じてて」と止められた。
自分だけ、こんなに気持ち良くしてもらって、いいのだろうか?
そんな思考が一瞬、珠の頭に浮かんでも、すぐに春人に翻弄されて、それ以上、何も考えられなくなる。
何度も名前を呼ばれ、初めて自分の名前が好きになった。
春人に「珠」と呼ばれる度に、心が幸せでいっぱいになった。
珠も、何度も春人の名前を呼んだ。