雪恋ふ花 -Snow Drop-
「ずっと話せなくて、ごめんなさい」
「無理して話さなくていいんだよ」
珠は大きく首を振った。
「春さんに聞いてほしいの」
「うん」
「賢ちゃんにはずっと言いたいこと言えなくて我慢してたの。でも、それがまちがってたって気づいて」
「まちがい?」
「そう、賢ちゃんにね、言われたの」
春人は黙って珠の言葉に耳を傾けていた。
「あの時…スキー場で置いて行かれた時、『行かないで』って一言、言えば良かったんだって」
「うん」
「待ってくれてたんだって、下で。私、何にも見えてなくて。賢ちゃんの気持ちにも鈍感で」
「想いがすれ違ってたんだな」
珠はまたぱたぱたと涙を落とした。
「自分だけが被害者と思ってたの、ずっと。何もかも賢ちゃんのせいにして」
「……」