雪恋ふ花 -Snow Drop-

珠がやっと解放されたのは、翌日のもう日も暮れてからだった。

一日中ベッドにいるなどということが、現実にあることを珠は初めて知った。


「春人って、植物とか好きなくせに、肉食!」

珠が怒りを込めてにらむと、春人が笑った。


「ああ、植物は好きすぎて、かわいそうで、食べられないからね」

そんなことをしれっと言ってのける春人に、珠が叫ぶ。


「動物だって、食べたらかわいそうなのに、変わりはないよ!」


「それに、これまでずっと、草食系って、言われてきたんだけどなあ」

春人はどこまでもとぼけている。


「絶対、ウソだ! あんなの草食って、言わないよ!!」

珠が真っ赤になって、言い募る。


「えっ、そう?
だとしたら、きっと素材がいいから、ついつい、あれこれ料理して食べてみたくなるんだな」


「もう、何言ってるの!」



「あ、そうそう、すごくいいレシピ、今思いついたから、試してみてもいいかな?」

いたずらっぽく笑って近づいてくる春人に、珠は「ダメー!!」と叫んで逃げ出した。

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