君を愛す ただ君を……
しぃちゃんと噂
あたしはいつもの通り、学校に登校してくると、クラスメートたちからの冷たい視線にさらされた

教室に入るなり、女子たちが一斉にあたしから視線を外す

それからコソコソ話をしながら、まるで様子を窺うようにチラチラとあたしを見ては、くすくすと笑い合った

なに? どうしたの?

あたしは自分の席に行く前に、しぃちゃんの姿を探した

しぃちゃんは机に座って、他の友達と話をしていた

「おはよう、しぃちゃん!」

あたしはしぃちゃんに声をかけるが、振り向いてもらえなかった

「罪悪感とか、悪気とかってないわけ?」

しいちゃんの席の前に立っていた女子の一人が、あたしに冷たい言葉を投げてきた

「え?」

「とぼけたって、無駄よ。みーんな知ってるんだから。しぃの彼氏を寝取ったって!」

「ね…『寝取った』? 何、それ?」

あたしはびっくりして、大きな声を出した

「やだぁ。まだ知らないふり?」

近くにいた女子が、会話に割り込んできた

「知らないふりって言われても…本当に、何がなんだか…」

わからないよ

「陽菜のこと、信じてたのにっ! 最低」

しぃちゃんが振り返ると、憎しみのこもった目であたしは睨んできた

「な、なに? 意味がわからないんだけど…」

あたしはしぃちゃんと、まわりにいるクラスメートの顔色をうかがった

何がなんだか、さっぱりわからない

「昨日、部活をサボって越智君とどこに行ってたの? 見てた人がいたのよ」

しぃちゃんが乱暴な言い方をした

見てた人が居た? って、もしかして、体育館の入り口ですれ違った違うのクラスの子かな?

「病院から、二人で仲良く出てきて…その後、喧嘩して。またすぐに仲直りしたって」

「び、病院?」

「そうよ。今まで私に隠れて、愁と付き合ってたんでしょ? それで生理がこなくて、病院に行ったんじゃないの?」

しぃちゃんの言葉に、あたしは目を丸くした
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