舞う風のように
「…なんだと?」
土方の顔が歪む。
「言葉の通り。無謀、と言いたいのです。あんたは俺には勝てない。」
最早土方は般若と化し、刀を握る手はふるふると震えている。
…副長がこんなに短気で挑発に乗りやすいようで良いのか?
「てめぇ、黙って聞いてりゃーー」
怒鳴り掛けた土方の言葉を遮り、続けた。
「それに、俺は長州の者ではありません。あんた達に捕まる理由はない。…帰ってもいいですか?」
一瞬白けた空気が漂った。