謝罪のプライド
*
十五時頃、仕事の合間にシステム開発部を覗く。今日初日を迎える美乃里のことが心配だったからだ。
「あら、新沼さん」
「こんにちは、沢木さん。……彼女どうです?」
沢木さんは私がシステム開発部にいた時に面倒を見てくれた人だ。ここは割に女性が多くて、今は沢木さんも女性管理職として活躍している。
「そうね。まあ、初日だから」
ちらり、と彼女が後ろの席を見る。美乃里はパソコン前で突っ伏していた。周りの人が嫌そうな視線を向けているのをみると、こっちまで心苦しくなる。
「すみません、ご迷惑かけます」
「新沼さんが謝ることじゃないわ」
「ちょっと、今声かけてもいいですか?」
「そうね。ちょっと落ち込んでるから、あなたと話せば元気になるかも」
だといいけどね、と思いつつ美乃里に近づく。
「あ、新沼さぁん」
パッと顔を上げた美乃里はにへぇと微笑んだ。
あれ、落ち込んでるんじゃなかったのかよ。
「どう? システム開発部は」
「技術部の上を行く難しさですぅ。私、ここは向いてないなーって思っちゃう」
それが本気だとしても、その部署内では言わないで。
ああもう、変なとこは空気読まないんだから。
十五時頃、仕事の合間にシステム開発部を覗く。今日初日を迎える美乃里のことが心配だったからだ。
「あら、新沼さん」
「こんにちは、沢木さん。……彼女どうです?」
沢木さんは私がシステム開発部にいた時に面倒を見てくれた人だ。ここは割に女性が多くて、今は沢木さんも女性管理職として活躍している。
「そうね。まあ、初日だから」
ちらり、と彼女が後ろの席を見る。美乃里はパソコン前で突っ伏していた。周りの人が嫌そうな視線を向けているのをみると、こっちまで心苦しくなる。
「すみません、ご迷惑かけます」
「新沼さんが謝ることじゃないわ」
「ちょっと、今声かけてもいいですか?」
「そうね。ちょっと落ち込んでるから、あなたと話せば元気になるかも」
だといいけどね、と思いつつ美乃里に近づく。
「あ、新沼さぁん」
パッと顔を上げた美乃里はにへぇと微笑んだ。
あれ、落ち込んでるんじゃなかったのかよ。
「どう? システム開発部は」
「技術部の上を行く難しさですぅ。私、ここは向いてないなーって思っちゃう」
それが本気だとしても、その部署内では言わないで。
ああもう、変なとこは空気読まないんだから。