謝罪のプライド
自分に言い聞かせてスマホの発信履歴をいじる。
そうしたら一番直近なのが件の土曜日の電話で、それを見た途端に不愉快そうな浩生の顔が思い浮かんで血の気が引いた。
――怖い。
浩生にまた冷たい声を出されたら。
更に喧嘩になったら。
話も聞いてもらえなかったら。
ボタンひとつ押す勇気が出ない。
スマホなんだからちょっと触るだけなのに。
恋は魔物だ。
私をどんな風にも変えてしまう。
自分がこんなに臆病になるなんて、考えたことも無かった。
欄干を握る手の甲にしずくが落ちる。
どうしてこんなに弱くなったの。
発信履歴から指をずらすと、着信履歴が現れる。
そこにあった数家くんの名前に触れてしまったのは甘えだったのかもしれない。
『もしもし。新沼さん? どうした?』
穏やかな声。
どんなこと言っても、きっととりあえずは受け入れてもらえる。
そんな甘えが、私を突き動かす。
「かず、や、くん」
『泣いてるの? なにかあった?』
「ごめん、私」