謝罪のプライド


『仕方ないか。そんな声出されちゃなぁ』


電話の向こうからガコンという音がした。どうやら自販機で何か飲み物を買ったようだ。


『結局、新沼さんは彼が好きなんでしょ?』

「……うん」


時折飲み込む音がする。どうやらどこかに座って話しているみたいだ。


『落ち着いて彼の言うこと考えてご覧よ』

「落ち着いて?」

『そう。謝らない人だって言ったよね。それってさ、謝るようなことしてないって自信があるからじゃないの』

「……あ」


浩生は謝らない。
仕事でも謝らないのは、おそらく自分が直す自信があるから。

私に謝らないのは、悪いことをしてないから……?


『俺から言わせるとね、仕事でも謝らないってのは相当の自信家なんだよね。プライドも高い。下手に出るなんて一番キライなことじゃない?』

「うん。まあそうね」

『そういう人ってものすごい理性の持ち主なんだと思うよ。新沼さんと喧嘩してるのも堪えてるんだろうけどそう見せないだけじゃない?』


数家くんは浩生の事を知らないはずなのに凄いな。
なんでそんな風に言い切れるんだろう。

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