謝罪のプライド
でも、浩生が凄い理性の持ち主ってのはホントかもな。
最初に付き合う時だって、お酒のせいには絶対にさせなかった。
普通女からあれだけ言い寄られたら、その気がなくてもしちゃうって。
……って考えると、ホテルに行ったのは本当でも、美乃里とはなにも無かったのかもしれない。
『これは言うなって言われてたんだけど、まあ約束守るほどの義理も無いから言っちゃうね。新沼さんの彼、この間店の横で新沼さんが泣いた日、ずっと君のこと見てたみたいなんだよ』
「え?」
『君が帰った後ひょこって出てきたもん。威嚇するように睨んで、【お前、初音のなんだよ】って。怖かったよー』
「えええっ」
何それ。
聞いてないよ。
『だから、この店の店員で昔の同級生ですって言ったんだ。君に好意があって、こんな風に泣かせる彼氏よりも彼女を幸せにする自信もありますよってとこまで』
「はぁ?」
ちょっと待ってよ。
なんで? 私の知らないところで何が起こってるの。
『彼、黙って去っていった。俺、勝てたかなって思ってたんだけど』
もう一口何かを飲んだようだ。ごくんという喉を通る音が響く。
『肝心の新沼さんの気持ちを攻略できないねぇ』
胸に何かが突き上げてくる。
なにこれ、苦しいよ。