謝罪のプライド
「内緒になんて……」
「してるだろう。電話の相手が男だなんて言わなかった」
「でも同級生ってのも本当だもん」
「後ろ暗いから内緒にしてるんじゃないのか」
予想以上に突っ込んで来られて、おもわず視線を逸らしてしまう。
会社を出てすぐの通勤路。
話しながら徐々に歩みが遅くなる私達は通行人の邪魔になっているみたいで。
私は気になって道の端へと寄っていった。
「違うよ。……その、本当に高校の時の同級生で。偶然、再会して。……実はメール交換とかはしたけど。そこまで」
「あっちは違うようだったぞ?」
「こ、告白は……されたけど。断ったし」
「……そうか」
「信じてよ」
ちょっと気持ちが揺れたことが後ろめたくて必死になってそう言うと、私の前に影がさした。
「じゃあ信じさせろ」
「え? ……っむ」
頭の後ろと腰を押さえられて、唇に熱い息が吹き込んでくる。
ちょっと待って、こんなところで。
人もいっぱいだし会社の人もいるし。
ああ冷やかしっぽい声まで聞こえるんですけど。
恥ずかしさで死んでしまいそう。
だけど、恥ずかしすぎても感覚は麻痺してくるものらしい。
頭の奥がぼうっとしてきて、もうどうでもいいかななんて思う。
私の手は自然に彼の服を掴んでいた。