謝罪のプライド

 
 私の両親には、その一ヶ月後に挨拶に行った。
浩生はすぐに行ってもいいと言っていたけど、流石に前って話を通しておこうと思った私が、それを止めた。

いざ報告するとなったら恥ずかしくて電話をかけてもなかなか言い出せず、三度目の電話で母親の方から問いかけられ、ようやく言えるという体たらく。


『何でめでたい事なのに恥ずかしがるのよ』

「だって……。私が結婚とか、似合わなくない?」

『似合わなく無いわよ。あんたいっつも勝手に思い込むわね』


あっさりした母親の言葉に、恥ずかしいやら情けないやら不思議な気持ちになる。

一人暮らしはしているけど、実家はそれほど遠くもなく日帰り圏内なので日曜日を使って挨拶に行った。

いつも自信たっぷりな浩生は、短時間で対面する分にはものすごく頼りになるイメージを与えるのか、私の両親は恐縮然りで賛成してくれた。


その帰り道、閉店後の『かつや』によって私も挨拶をする。


「不束者ですがよろしくお願いします」

「あらあらあら」


仰々しく頭を下げると、おばさんはいつもは白いエプロンと三角巾を外し、嬉しそうに私の手をにぎる。


「こちらこそ。良かったわぁ、ようやく浩ちゃんが落ち着いてくれて」


心なしか目を潤ませているおばさんに私も感動していると、浩生からは冷たい声が落ちてくる。


< 179 / 218 >

この作品をシェア

pagetop