謝罪のプライド
「……清水さんはなんて言ってるの?」
「私の覚悟が固まるまで待つって」
おお、優しいじゃん。流石清水さん。
「じゃあ避妊してんだ」
「ずっとね」
亜結は心なしか頬を赤くしながら指でグラスについた水滴をなぞる。それは亜結の指を伝って、テーブルに溜まっていく。
「清水さんがそう言うなら、亜結も焦らなきゃいいじゃない。あと半年くらい待ってくれれば私だって考えないでもない」
「そうなんだけどさ。私は結婚してもう半年なわけだよ。子供は欲しいって思い始めたけど妊娠・出産の怖さはむしろ増してるしさ。待つって言われたら、本気で覚悟が出来ないと子作りしようなんて言えないじゃん」
それもそうか。いっそ強引にしてもらったほうが楽っちゃ楽だよね。
でも清水さんはしないだろう。
だってあの人すごーくイイヒトだったもん。
亜結がいつまでもグラスを撫でているのを見て、ちょっと違和感を感じる。
「……もしかして、亜結、きっかけ待ってる?」
そう言ったら、今度は耳のあたりまで赤くなった。
「……誤魔化せなかったか」
「何年の付き合いだと思ってるの」
「だって、もう結婚して半年よ。真面目なのはいいところだけどいつまでたっても避妊するってどうなの。でも怖いのも本当だし、それでもし妊娠しちゃったらさ、その後の妊娠中弱音吐けない気がして」