謝罪のプライド


それからの付き合いは、それなりに順調だったと思う。
初音がヘルプデスクに戻ってからの評判にもなんとなく耳を傾けているが、概ね高評価だ。

とにかく真面目の一言に尽きるのだろう。
アパートにも、仕事関連の本が置いてあるのを見た。

家でまで勉強するのか、すげぇな、と感心する。

初音は仕事が好きなのだろう。
だったら、好きなだけ羽ばたけばいい。

幸い、俺はそれをサポートできる。
彼女の欲しい知識なら幾らでもくれてやる。

真面目な初音は俺が泊まった時の家事も手を抜かない。

一緒にいるのは楽だが、入り浸るとおそらく負担になるだろう。
そう思って泊まりに行くのも週に一、二回に自制した。

ならば自分も手伝えばいいのだろうと言われそうなものだが、
世話を焼いてもらうのが嬉しい俺は、初音の部屋では何もしない。

甘えられる相手が居る。
久方ぶりに感じたその感覚に、俺は肩の力を抜いて安心していたのだ。


初音が、小さな不満を貯めこんでいるとも知らずに。



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