謝罪のプライド
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「なぁ」

「なに?」


新居の片付けに精を出す初音の背中に、俺は横になったまま呼びかける。
結婚式を来週に控えた俺達は、地道に荷物を移してようやく共同生活を始めたところだ。


「お前、あの男が強引に言い寄ってきたらどうしてた?」

「は?」


振り向いた初音は、眉根を寄せたまま近づいてくる。


「馬鹿な事言ってないで、浩生も片付けてよ」

「馬鹿なことでもないだろう。あっちはその気がありそうだった」


坂巻とのことを誤解されて苛ついた俺が初音を怒鳴った時、彼女はヤツの店の裏口で泣いていた。
それはアイツを頼りにしていたということで、初音にも全くその気が無かった訳じゃないだろう。

そう思ったら、俺は動けなかった。

泣いている彼女をただ見つめることしか出来ずに佇んでいたら、裏口からあの男が出てきて、初音がするすると本音を伝えることにも驚愕を感じた。


俺が甘えて気を抜いている間に、この男はいつの間にか初音の心の中に入り込んでいる。


苛立ちと共に巻き起こる嫉妬の嵐。
堪らなくなって、初音が帰った後その男を呼び止めた。


「お前、初音のなんだよ」


男は、一瞬ぎょっとしたが俺のことを初音の彼氏だと認識しているのか、「ああ」と言って微笑む。


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